展望台から見た初日の出。

まぶしくって、あったかくって。

大切な人たちと、重なる。

頭のどこかで、「そろそろだ」と声がした。



『決意』



振り袖姿のお姉さん。

背広で決めた、お兄さん。

今日は、成人の日。

もう出られない、成人式。

止まったまんまで時は動かない。

みんなは成長してるのに。

でも、悔しいのはみんな同じ。

何も出来ない。ただ天に向かっていった雪は、

みんな。


“ヒカリちゃん”

顔を上げれば、いつもの顔。

その綺麗な髪が、輝かないのが悔しい。

“なに?”

“……どうしようか?”

ポツリと、言った。

“このまま、ここにいても勿論良いよ?でも…”

“タケル君も、わかってるんだ”

単純に逃げてちゃダメ、ってことじゃない。

わかってる。しなきゃならないことがある。

“まあね”

肩をすくめて苦笑い。

私も、同じ気分。

“早くしないとね。時間、掛かるかも知れないし”

“そうだね”

何が起こるのかわからない。

具体的にどこに向かうのかも。

でもそれは、みんな同じ事。

私は立ち上がった。

タケル君も。

太陽を背にする。

影が出来る。

なぜか。

太陽の光は、通り抜けてしまうはずなのに。

不思議な影の正体を、確かめるために。

全ての事に、終止符を打つために。

“タケル君”

行こう。


影に、飛び込んだ。





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作成・掲載日:2007/01/08