「お風呂上がったよ〜。片付けありがとう。何見てたの?」
 バスタオルで髪を拭きながら、ヒカリは軽く言った。
 タケルの視線の先には、家族共有のタブレット端末。
「んー、特には。最近20周年とか25周年の復刻とか多いなーって、市場調査?」
「なにそれ。あ、でも懐かしいなあ、これとか」
「中学生頃だっけ。話題になってたの。クラスの女子みんな見てたなあ」
「そうそう。あのときの委員長とか、ハマってたよね」
 こんなとき、夫婦で同じ思い出の話ができるのは、特別なことなんだよなと思ったりする。
「そっかあ、あれからもう20年以上経つんだね」
「早いよね。僕らって、あの夏の冒険からだと何年ってすぐわかるけど、他のことだと疎くなる気がする」
「当然よ。それだけ、大事なことだもの」
 毎年集まって、何周年記念と銘打っているくらいだ。
「けど、その代わりに他のことが雑になってる気がするなあって。誕生日とか」
「……お誕生日なのに片付けさせたの根に持ってる?」
「一番風呂も取られたし?」
「子どもたち優先なんだから仕方ないじゃない」
 わかってるよ、と、互いに冗談を口にする。
「というか、子どもいなかった頃はもっと雑だったよね」
「遅く帰ってきて、コンビニケーキ、とか?」
「缶ビールで乾杯しただけのときもあった」
「そうだったかも。でも、今はちゃんと祝ってるでしょ?」
 ケーキを買って、お祝いの歌を歌って。
「そうだね。誕生日と、パパとママが出会った記念日って、言ってくれてるし」
「充分じゃない」
「うん。……充分すぎるくらい、だね」
 ふたりで、なんてことない会話をして。
 当たり前に、誰かに祝ってもらえること。
「……26周年、おめでとう。これからもよろしくね」
 改めて、今に、感謝をした。





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歴代随一の滑り込みとなりました。祝タケヒカ記念日!
諸々修正更新したら日付変わっちゃいました……くっ……!
いやまあ忙しかったと言うよりは諸々サボったツケみたいなものなのですが。
突貫でしたが祝えてよかったということで!26周年おめでとう!

作成&掲載日:2025/8/3