今年は、雨が多かった。
人々の暗い感情を反映したかのように、空は曇り陰っていた。
「ことしは、みんなにあえないの?」
幼い息子が、父親似の金髪を揺らして、泣きそうな顔で問いかける。
「そうだよ」
今年は、災厄の年だった。
リアルワールドで蔓延した事情は、デジタルワールドへも波及する。
幾つものゲートが封鎖。厳格な通行証が必要になった。
たくさんの幸せが、奪われた。
でも、笑顔は絶対に、絶やさない。
父親と似た声で、息子へと優しく諭す。
「でも、大丈夫」
笑顔を忘れずに。怖くないのだと、伝えるために。
「実際に会えなくても、想いは一つだよ」
これまでも、そうだった。
何度も、離れ離れになった。
もう二度と会えないかもと、思った。
そのたびに、乗り越えてきた。
別離を再会を繰り返し、今また、隣にいる。
離れ離れになった家族は元には戻らなかったけれど。
それでも、想いは一つだった。
何度もみんなで食事をし、相談をし、報告をした。
友達も、みんなそれぞれ遠くに行った。
仲間も、それぞれの世界で活躍をしている。
たとえ、そう簡単には会えなくとも。
二度と会えないなんてことはない。
信じていれば。行動していれば。
「必ず、また会えるよ」
自身の経験を元に、心からの言葉を贈る。
僕に似た髪色の頭を撫でて。
「タケリュ〜」
隣から、パタモンの声が聞こえた。
「晴れたね」
窓の外は、晴天。
長い梅雨が開け、夏の日が訪れた。
今日は、8/1。
僕たちの、永遠のメモリアルデー。
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2020年のメモリアルです。
自分で書きながら泣きそうになってしまった…。
今年はどうしようかと、ラスエボにしようか、それとも「:」にしようか。
とか思っていたのですが、結局まあ、これだろうと。
今年は、13年ずっと行っていたお台場の地には出向きませんでした。
なので、せめて。彼らは今、何をしているのかな、と。
02最終回のお子さんの見た目から察するに、タケルの息子さんはもう4歳位にはなってるんじゃないかなーと。
いや〜。時の流れ。
タケルは元々在宅ですし、取材はしづらいだろうけどそんなに生活変わらなさそう。。
太一さんは外交官ですし絶対大変そう。デジタルワールドへの行き来しづらいだろうし…。
などといろいろ考えては楽しんでます。という8/1の14時です。こんな遅くメモリアル文書いたのいつぶりだ…?
とにかく、今年も祝・メモリアル!!
作成・掲載日:2020/08/1