遠くに見える、8人の影。
公園に向かって、疎らに、歩いている。
8人の影の周りには、小さいけれど 大きな生き物。
爪があったり、角があったり。
羽根があったり、花があったり。
レンズ越しに眺めている景色が、滲んでいく。
「いけない…」
眼鏡を外して、涙を拭って。
再び眼鏡を掛けた時に、目の前に顔が現れた。
「もしかして、メイメイさん?」
芽心と同じように眼鏡を掛けたロングヘアの女子が、声を掛けてきた。
「京さん、メイメイはあだ名ですよ」
「わかってるわよ、伊織」
京の隣に、少し背が小さめの男の子がやってきた。ふたりの傍らには、人間ではないシルエット。
「お、もしかして、望月さん?」
今度は後ろから声を掛けられた。振り向くと、頭にゴーグルをした男子と、モデルのような男子が立っていた。
「いきなりすみません」
ふたりの傍らにも、人ではないカタチ。
世間を賑わせた、異世界からの訪問者。
「あ、あの…はい…望月です」
返答に詰まりながら頷くと、取り囲んでいた輪がにこやかに笑った。
「ビンゴ!」
「お話は伺っています。はじめまして、火田伊織と申します」
「本宮大輔です。望月さんも、あっち、行くんすよね?」
ゴーグルの男子…大輔が、公園を指した。
8人と8匹の影が、公園へと入っていく。
「俺たちも、毎年誘われてんです。俺たちの日じゃないけど、仲間だからって」
大輔の肩に、パートナーが飛び乗った。
「ちなみにこいつはブイモン」
「よろしく!」
明るい笑顔に、芽心もつられるように笑った。しかし。
「……今は、やめておきます」
首を横に振った。
芽心の言葉に、周囲の顔色が少し暗くなる。
きっと知っているのだろう。芽心たちのことを。
でも、違う。暗くなることでは、ない。
「みなさんに、伝えておいてくれますか?」
芽心は、自然に、明るく言った。
「次は、メイちゃんと一緒に来ます」
約束するように言った言葉は、風に乗って羽ばたいた。
「…わかりました。伝えてきます」
会釈をして、手を振って。
大輔が、京が、伊織が、公園へと向かって行く。
「賢ちゃん?」
声がして振り向くと、賢がパートナーを抱き上げていた。
「…望月さん」
芽心の前に立つと、優しい顔で、思いを込めるように言った。
「絶対に、会えます。…だから、また」
賢は、頭を下げて大輔たちのあとを追った。
後ろ姿を眺めて、芽心は呟いた。
「…待ってるけんね、メイちゃん」
風が吹き、芽心の元に、オレンジ色の蝶が飛んできた。
まるではしゃぐように、風に乗って芽心の周りを回って。
「…メイちゃん?」
舞い上がる蝶に、声を掛けた。
「だんだん」
蝶は、太陽の光で、見えなくなった。





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祝・メモリアル!!
今年はtri.完結記念ということで芽心ちゃんのお話になりました。(方言は雰囲気でお願いします。。)
新プロジェクト的に、もうめいちゃんたちには会えないのかな〜とか思いまして。。
02組とも会ってほしかったな〜とか、せっかくなら02組のtri.絵も見たかったな〜とか諸々を込めて。
あ、もちろん新プロジェクトめちゃめちゃ楽しみです!!19歳タケヒカ早く見たい!!
…19歳って打って、そういえば今年ちょうど19回目のメモリアルか〜とか思って色々感慨深くなりました…すごい年月…。
来年は20周年ですもんね。またこれからも盛り上がりますように!
ではでは、祝・メモリアル!!


作成・掲載日:2018/08/1