“ずっと、待ってた”
来る日も来る日も、ただひとりの人を待っていた。
どんな人かとか、考えるときはなくって。
ただ、ひたすらに待っていた。
会いたくて、たまらなくて、空を見上げて、待っていた。
いつになるかなと待ち遠しくて。
その瞬間を、心待ちにしていた。
「それってきっと、こんな気分なのかなって思うのよね」
京さんは、お腹を撫でながらそう言った。
「デジモンたちって、100%の愛情を持って、パートナーを待ってるんでしょ?
それが、どんな人なのかとか、そういうもの全然関係なしに。
それって、生まれてくる子どもを待つ気持ちと似てるのかなって」
目を細めて語る京さんは、愛情たっぷりに笑った。
「そうかもしれませんね」
つられて私の心にも愛情が溢れてきて、あたたかくて、嬉しくなる。
「不思議よねー、パートナーって。家族とも友だちとも夫婦とも違って、
仲間とかだけじゃなくて、パートナーって言葉以外では表せない感じ。
・・って、言ってることよくわかんないわね」
てへへと笑う京さんは、小学生の頃の面影を残していて。
それでも、もうお母さんになるのよね。
「・・・もしかしたら、同じかもしれませんね」
「え?」
「会いたくて、どんな人かも気にしなくて、ただ会いたい。
きっとそれは、生まれてくる子どもも同じ気持ちかもしれないって思ったんです」
どんな人でも、生まれた子どもを愛する気持ち。
どんな人でも、生んでくれた両親を愛する気持ち。
きっと、お腹の中で待ち望んでいるのは、子どもも同じよね。
そっと、京さんのお腹に触れる。
「きっとこの子も、京さんと会う瞬間を待ってますよ」
「ヒカリちゃん・・・」
京さんは、眼にうっすらと涙を浮かべて、そして、
「うん、そうだといいな」
と、ほほえんだ。
「絶対、そうですよ」
赤ちゃんの産声が、聞こえる。
“ずっと、待ってた”
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2014年のメモリアル文です。相変わらず読みづらくてすみません・・・。
今年は珍しく、「待ってた」についてでした。そしてメモリアル関係ないことに今更気づきました・・・。
02最終回でのお子様の大きさから察するに、京にはそろそろ子どもが生まれてもおかしくないかな、とか思いまして。
・・ああ時の速さ・・。
せっかく公式イベも開催されることですしそちらとも絡めたかったのですが・・難しいものです・・。
ではでは、お読み下さりありがとうございました!
祝・15周年メモリアル!
作成・掲載日:2014/08/1