あれから、10年。
俺たちの冒険から、10年が経った。

そして今日も集まる。いつもの公園で。


13年前、今日という日は、俺にとってなんでもない日だった。
キャンプに行ったわけでもないし、そもそも子供会に入ってたわけでもない。
“デジモン”なんて、もちろん知らなかった。
別世界があって、俺の力が必要だといわれるとか、ゲームの世界じゃなきゃありえなかった。
俺にとってのヒーローがいて、ヒロインがいて、学校という世界がある。
それが、13年前、小2だった俺の生活。

変わったのは、10年前の春。
いきなりのことでわけわかんねえって感じだったけど、とにかくワクワクして、嬉しくて、楽しかった。
だから、俺にとって大切なのは、今日この日じゃ、ない。
はずなのにな。


「あれ?大輔?」
公園に行く前の買い出しにと、コンビニに寄った。
思ってたとおり、京がいる。
「よお」
「奇遇ですね」
「うおっ」
予想外に、伊織もいた。
2人とも、地味に久しぶりだ。

「伊織、なんかでかくなったな〜」
「そうでしょうか・・・?あまり変わってないと思いますが」
「大輔ー、会うたびにそういうこと言うのって、年よりくさいわよ」
「!?うっせー!」
本当は京のほうが年上だけど、つい昔のクセで軽口をたたいてしまう。
大人の社会ではありえないことだけど、こういう時地元っていいよなとか思う。

あの日まで、まさかこいつらと戦う日が来るとか思ってもいなかった。
いやまあ、戦う日ってのが来ることも思ってなかったけど。
それだけ、俺たち3人にとってはあの春の日が大切で、重要な記念日の、
はずなのに。

「あ、賢くんもうすぐ着くってー」
「では、もう少し待ってから皆さんで行きましょうか」
「賢にもしばらく会ってねーなー」
それぞれが夢に走る中で、会う時間は年々減っている。
でも、もっと前でも、俺たちは3人で集まることは、なかったな。

「大輔、どうしたの?さっきからテンション低いわよ」
「いや、こうやって3人で会うのって珍しいよなーって思ってさ」


一瞬の、沈黙。
2人とも、「そう?」という顔をしたが、思い返してみれば、その通りだったようで。

「・・・ほんとだ」
「言われてみれば、滅多にありませんでしたね」
「だろ?」

静かな3人。
店内に鳴る音楽。
節電のクーラー。
暑さの残る体。

「まあ、こうやって8月1日に会うしね」
「そうですね」
季節は夏。
そう、俺たちの、夏なんだ。

「遅くなってごめん・・あ、大輔、伊織くん」
「よお、賢!」
「お久しぶりです」
3人の時間は終わって、4人になった。
公園に行けば、今日という日は12人の日になる。

「じゃ、行きましょっか」
大人になった京は、出動コールを言わなくなった。
いつもに比べてローテンションな俺たち。
それは、俺たちだけだからなんだろうな。

先輩の前でいいとこ見せようと頑張って、張り切っていた毎日。
きっと、公園に行けばそれがよみがえってくる。
だから、今日が俺たちの記念日なんだ。

3人じゃ、ダメなんだ。
4人でも、ダメなんだ。
俺たちは、12人の、選ばれし子供たち、だから。





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今年はずいぶんギリギリの更新になってしまいました・・;
しかも大輔のキャラが・・というか全員性格行方不明です。。
そしてデジモンが普通にいないというあわわすみません;;
あと、作品のテンションが低いのはおそらく書き手の眠気によるものかと(コラ)
色々詰め込みたかったのですが、なぜかこんな形に・・・。
それでも今日という日に何か更新をしたい!ということで、アップさせていただきました。
ではでは、お読みくださりありがとうございました! 祝・メモリアル♪

作成・掲載日:2012/08/1