夏真っ盛りにしては、曇り空でちょっと涼しい今日。
ピクニックにはぴったりの陽気だ。
刈られた草の上にシートを敷いて、持ってきたパンを食べる。
お腹が膨れたから、今は一休み。



『交差点公園』



みんなのいるシートから離れて、海風に当たる。
向こう岸で光る球体に、自然と笑みがこぼれた。

「ちょっとタイキ!危ないってば!!」
声がする方を見ると、ゴーグルをつけた男の子が、海に落ちそうになっていた。

「『太一さん』・・・?」
あまりに似ている姿に、ついつい呟いてしまう。
「・・って、じゃなくって!」
慌てて、女の子に駆け寄って、助けに行った。


「ありがとうございました」
「もう、ほんと無茶ばっかりして・・」
無事に助けた後、ふたりはお礼を言ってくれた。

「そのゴーグル、似合ってるね」
そのまま立ち去るのもなんとなく惜しくって、言ってみた。
「え?ああ・・ありがとうございます」
男の子は一瞬驚いた様子だったけど、すぐにお礼を言った。ちょっと照れてるみたいだ。

「無茶しちゃ、ダメだからね」
大人として、子供に注意するのも忘れない。
・・といっても、もう中学生くらいかな?

「はい・・」
男の子は、反省したように言った。
「ほんとにわかってるのかなあ・・・」
隣にいた女の子が、ため息交じりに呟いた。
大丈夫かなあ・・・。

「じゃあ、わかってるなら、向こうに戻ろうか」
海の近くから、公園の中心部を指さす。
「えっと・・・」
すると、今度は女の子も迷っているようで。

「実は、探し物をしているんです」
聞けば、ふたりは、蝶々のキーホルダーを探しているらしい。
「友達がここで落としたって言ってて・・・」
「それでつい、ほっとけなくて」

そう聞くと、僕も、ほうってはおけない。
「そっか。じゃあ、見つかるまで僕も探すよ」
「え!?」
「いいんですか?」
ふたりは、驚きながらも、ちょっと嬉しそうだった。

一緒に、しゃがんで草の中を探す。
バッタがとび跳ねたり、トカゲが逃げたり。
この場所は、僕たちの公園と同じで、自然がいっぱいだ。

ふと、遠くから視線を感じた。
見上げると、僕より少し年上っぽいお兄さんが立っていた。
力強い瞳で、こっちを見ている。
見ているだけで勇気がわいてくるような、そんな・・・。


「ターカトー?何してんのさー?」
後ろから、ジェンの声がした。
「日が出て暑くなってきたし、そろそろ買い物行きたいんだけど」
ルキも隣で僕を呼んでいる。

「あ、俺たちのことは気にしないでください」
「手伝ってくれて、ありがとうございました!」
タイキくんとアカリちゃんが、笑顔で言った。

僕もつられて、笑顔になった。

「タカトくん!早く来ないとおいてっちゃうワン☆」
「待ってよ〜。今行くよ〜!」
子供のころみたいに言って、僕は走った。

あのお兄さんは、いつの間にか、どこかに去っていた。





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今年はテイマから10周年!
というわけで、サイトでは初のタカト視点でした。
たしかテイマ世界はアドベンチャーが放送していた世界観だったかな〜とか思いまして。
せっかくなので、タカトたちにお台場に来ていただきました。
そして、何気にタイキとアカリも初書きですね〜。
というわけで、2011年の8/1記念作でした!
祝・メモリアル♪

作成・掲載日:2011/08/1