外を歩けば目に付く赤。白や緑もたくさん見えて、光る飾りは星空のよう。
綺麗な景色を写真に納め、道なりに歩いていく。

気付けば1人になっていた。

周りにカップルも居ない。
聞こえるのはケーキを必死に売る、売り子さんの呼び込みのみ。

写真の日付は25日。

クリスマスが、終わろうとしている。

「はぁ〜・・・」
冷たい風に、白い息。
冬らしい寒さが、これほど痛かったことはない。

「やっぱり、渡せば良かったかな・・・」
知り合いからもらった、映画のチケット。
偶然2枚の無料券をもらうなんて、あまりに出来すぎていて。

「でも、興味ないよね・・・」
ヒカリ自身、特に見たいとは思わない泣ける映画。
可哀想なラストになるとわかっている故に、あまり足は進まない。
つまり、それは。

「タケルくんも、お別れは嫌いだし・・・」
同じ泣くなら嬉し涙が良いように、一緒に見るなら、楽しい映画が良い。
そうやって自分に言い訳をしていたら、気付いたら。

頻繁にケータイを取り出しては、メールチェックをする毎日。
偶然メールは来ないかな。お誘いがあれば、すぐにでも飛んでいくのに。

奇跡の夜にも、何も起こらなかった。

いつもと同じ、みんなと同じ。
いつも通りで、普段通り。

仲間も友達も、年々集まりは減っていく。
…訂正、回数は増えているが、人数が減っている。

「京さんは賢くんとお出かけだし・・・」
親友を祝福するものの、イマイチ心から喜べない。
そんな自分が、どんどん嫌になる。


角を曲がると、お店はなく光もない。

ビル風が強く吹き、歩く気力を奪っていく。
足を止めても意味がない、でも歩いていても・・・。

ヒカリの足が、止まった。

びくっと、驚いたように。


「ふと、思ったんだ」

正面にいる人が、呟いた。

「ヒカリちゃんも同じ気持ちかなって」
真剣な声で、独り言のように言う。

「どうしたらいいのか、わからないんだけど、どうにかしたくて・・」
子供のような呟きに、ヒカリは頷いた。

「今日は、クリスマスだよね。もし空いてたら…遊ばない?」
確かめるように、絞り出すように、緊張した空気の中の問いかけ。

「うん。遊びたい」
静かな道に、笑顔の声が通っていった。


つられた笑顔と、繋がる手と手。
終わってみれば、簡単で。

街を歩けば目に付く赤。白や緑もたくさん見えて、光る飾りは星空のよう。
恋と題したチケットを持ち、映画館へと歩いていく。

気付けば2人になっていた。





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昨年同様、25日掲載で申し訳ないです;;
如何でしたでしょうか、クリスマス物です。メリクリすら言ってないですが。
なんだか奇妙な雰囲気になりましたが・・・いつものことかもですねすみません;
もう少し甘めになる予定だったんですけどね〜。。
ではでは、駄文短文でしたが、読んで下さってありがとうございました!

作成・掲載日:2009/12/25