今年もなんとか間に合った。
葉書をポストに入れながら、僕はそう思った。



『クリスマスのプレゼント』



軽く首を動かし、少しため息をつく。
正直言って、結構疲れていた。
冬休みとはいえ時間がない中で、よくあれだけの年賀状を書けたよな、と自分で自分を褒めてみる。

周りを見ると、人影はまばら。
お店の方からは、声や音楽が鳴り響いてくる。
僕はちょっと悩んだけど、出たついでに、とお店の方へと足を進めた。

輝くイルミネーションとサンタクロースの衣装。
コートの人集りに白い息。
これぞ、冬の風物詩って感じだな。

ノルマを達成出来た所為か、体は重くとも心が軽く、賑やかなお店でも覗こうか、と散歩を楽しむ。
そんな時。
「あ、タケルくん」
後ろから声がして、振り向けば彼女が手を振り笑ってた。
「偶然ね」
昨日も会ったけど、今日はまた可愛く見える。
「ほんとだね。ヒカリちゃんは、買い物?」
誰かといるわけでもなく、何かを持っているわけでもない。
珍しいな。
「ううん。お散歩。…この寒い中変だけどね」
苦笑いする彼女に、「僕も同じ」と、笑って答えた。

周りを見れば、今日もカップルが多い。
皆、暖かそうだ。

「じゃあ、一緒に行こうか」
笑いあったあとに、僕は当たり前にそう言った。
「うん。一緒にお散歩しましょ」
僕らはあてもなく、人波に流されながら、お店へと進んだ。

見慣れた商品、いつも見る景色。
昨日も一緒に来たのだから、当たり前。
それでも楽しいと思うのは、君と一緒にいるからだろう。

「今日もみんな、幸せそうね」
ヒカリちゃんが、周りを見ながら微笑んだ。
「そうだね」
昨日も今日も、僕らの街は、いつも以上に暖かい。

僕らは自然と手を繋いでいた。
きっと、他の人たちと同じような顔をしているのだろう。
少なくとも、見た限りでは、彼女も同じ顔をしているのだから。


メリー、クリスマス。





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短い上になんとも纏まって無くてすみませんです;;
えー、クリスマス当日は年賀状が元日に届く期限の日だそうで。
母に言われ、今年管理人はギリギリセーフで書き終えました♪(どうでもいい)
タケルやヒカリは毎年ちゃんと、元日に届くようにしてそうだなーとか思いまして。
ちなみに、ヒカリはもっと早くに書き上げて出した、という設定です。
散歩してたのは本当に偶然…光の女神ならその辺り奇跡起こしそうです(何)
というわけで、イヴじゃない日にメリクリ言うのも妙な感じですが、
メリークリスマス、でした☆

作成・掲載日:2008/12/25