『空を見て想うこと』


最近、よく、わからなくなる。

皆が何を感じてるのか。

何を想っているのか。

昔の俺は、そんなこと思いもしなかった。

自分のことに精一杯で、弟への想いも、実は自分を守るためだった。

…最近では、その弟もあまり俺に全てを話さなくなった。

もともと、全部話していたわけじゃないとは思うけど、

でも、昔は、俺のことを困らせたくないから、だった。

今はどうなんだろうか?今も昔と同じなのだろうか?


昔から俺は、1人考えたくなると、ベランダに出て、空を見上げた。

マンション故に、強い風。

長く伸ばした髪は風に吹かれて、鬱陶しくまとわりつく。

まだ髪が長くない頃は、その強い風に立っていられなかった。

今はちゃんと立っていられるが、心に吹く冷たい風には、持ちこたえられるかわからない。


確かに、友達はいる。あの冒険で得た、「友情」

俺に必要な支え達。


なのに、わからない。

自分のことはわかってきた。皆のことも、わかってきた。

はずなのに。

成長しているはずなのに。


相変わらず俺は、ここで空を見上げる。

春の青々とした空も、夏の入道雲も。

秋の切ない夕焼けも、冬の冷たい寒空も。


悩み考えると、いつもここで見上げる。

今、星空を見ているのと同じように。


全てここで見てきた。

全てここで感じてきた。


1人でいた昔も、皆でいる今も。


…いや、1人じゃなかった。

ここで見上げると、いつもどこか落ち着いていた。

幼い頃、強風に踏ん張って立ってた時も、

人と接しずに、一匹狼をしてた時も、

今、皆の中にいる俺も、


この空を見ると、元気づけられるんだ。

1人じゃねえって。この広い世界、お前1人だけじゃねえって。

その大きな空間は、全てを包み込むんだ。

あったかくて、優しくて。

全ての人に平等の愛をくれる。


そして、ずっと見ていてくれる。

どんなに幼くても、どんなに1人でいても、

どんなに皆の中立っていられても。


その空は、ずっと変わらない。

変わらないで、俺を見ていてくれる。

そっと、宇宙的な神秘の力で、俺を包み込んでくれる。


そしていつも、俺はまた皆を見ていたくなる。

弟のこれからを。友人の想いを。


皆が何を感じていても、俺は俺だと言い切れる気がする。

この広い世界に、1人しかいない俺だ、と。


そして、もっともっと自分を知りたくなる。見ていたくなる。

同時に、皆のことが知りたい。もっともっといろんな人を見てみたい。


この空の下だけじゃなく、もっともっと遠く、まだ誰も知らない世界も。

行ってみたい。見てみたい。

俺を元気づけてくれるこの空の向こうに、何が広がっているのか。

あの輝く1つ1つの星に、何があるのか。


…こんな事、誰にも言えねえけどな。


でも、この空には言える。


いつも俺を見てくれて、その愛情で包み込んでくれる、空には。


これからも見ていてくれよ。俺を元気づけてくれよ。

見上げればいる。それだけで良いんだ。

それだけで俺は、前を向けるから。



だから…見ていてくれよ。そばに、いてくれよ…?


俺の大好きな…空。





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屋上で物思いにふける、と言うフレーズから思い付きました。屋上=空を見上げる=空といったら。ということで。(笑)
どのあたりがどう空さんと繋がるかとかはまあ色々と。(何)
ヤマトが宇宙飛行士になりたいと思った理由も、前々から思っていたので書いてみました。
時期はジョグレスするにあたって伊織がタケルのこと聞きに来て、それをタケルに知らせた直後。
これ書いた日にレンタルで見て、なんとなくヤマトが寂しそうに見えたから…。
まだ空と付き合う前ですね。

作成日:2006/04/21
掲載日:2006/04/29