それならそれでいいじゃないか。





『いつかの唄』





多分コレ夢だよ。だってナズナがいるもん。

いやナズナがいるくらいは普通かもしれないけどさ、ここショッピング街の真ん中だよ?
しかも巫女装束じゃないし(やけにフリフリしたの着てるな…)。しかも夜だし。

なによりナズナの右手が僕の左手と繋がっている。
ホントなら絶対してくれないよ、こんなこと。



そして何故かリクとモモちゃんがいる。
二人が付き合ってることは知ってるからそれは別に変じゃない。変じゃないけど…


「モモちゃん、この後どこ行きたい?」

「えーっとね…リッくんは?」

「ボク?そうだなぁ…(耳打ちする)」

「も〜ぅ!リッくんたらぁ〜!!」


うーん、実に鬱陶しい。というかどこに行く気なんだろう。



「それじゃあソーマくん、またね」

え。

「二人ともがんばってね〜」

何を?


あー…行っちゃった……




取り残された僕と言えば、状況がよく飲み込めずナズナと手を繋いだまま立ち尽くしていた。

えーっと……



「ナズナ、もう夜も遅いみたいだし送って……」

「嫌です!!」


え?何?抱きつかれた!?わわわわわわ。


「嫌です…帰りたくありません…!!」


あ、ほっぺた真っ赤だ。すっごくかわいい。

ってそうじゃなくてさ。


「ちょっ…!!ナズナ……!!?」

「ソーマは私といるのが嫌なんですか!?私のことが嫌いなんですか!?」


ううぅ…


「ち、違うよ。僕は別にそういうつもりで…」

「それなら!!……それなら…側にいさせてください……」


ああああどうしようどうしようこんなにアクティブなナズナ見たことないよどうすればいいんだよ
違うよこういうナズナが嫌いなわけじゃないんだよ嫌いなわけないだろ
何言ってんだよそうじゃなくてウソだろこんなのだって……ん?ウソ?


そうだよ。よく考えたらこれ夢だったんじゃん。
それなら別に問題ないじゃないか!!よしまずはナズナをこのまま抱きしめて


ジリリリリリリリ!!




目を開けると見慣れた自分の部屋だった。
一瞬、何が起こったのかよくわからなかったけど、すぐにイライラが募り出す。

……あのまま行けばナズナと…その…………だったのに。


ジリリリリリリリ!!


うるさいなぁ。まだ布団出たくないよー。

よし、いつものようにフサノシンを降神してスイッチを。



カチ。



あれ?



「早く起きなさい!!いつまで寝ているのですか!!」


!!?


「まったく…目覚ましが鳴っているのですからすぐ起きようと思わないんですか!!」


ちょ、ちょっと待ってよ!!


「なんでナズナが僕の部屋にいるんだよ!?」

「なっ…!?そ、それはあなたがっ…昨日……その…」


あ、ほっぺた真っ赤だ。すっごくかわいい。

ってええ!?何その反応!!?昨日何があったっていうんだよ!!覚えてないよ!!

どうしよう…あぁ…頭の中がどんどん真っ白に



ジリリリリリリリ!!



え!?何!?今のも夢!?



慌てて布団から跳ね起きて、目覚ましのスイッチを叩く。

乾いた沈黙の中で今までのことが全て夢だったことに今更ながらに気付き、
どうしようもない思いが胸の内に染み渡っていった。



あのナズナが僕の理想なんだろうか…

僕はあんなことをナズナに求めているんだろうか…?



…………………。



よし、今日は彼女に会いに行こう。

きっと手は握ってもらえないし、頬も染めてはくれないだろうけど。



今日はナズナに会いに行こう。





伊勢史虎さんに 諸事情により頂いてしまった作品。(^^;)
ソーマ可愛い!!!年齢は14〜5だそうです。悩める思春期。(笑)
このあとやっぱりナズナにはいつものように振る舞われるのでしょうが、
でもそういう表情出来るわけですし、案外…!!?(何)
史虎様、ほんと、わざわざありがとうございました!!


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