隣にいてくれなくても構わなかった。
ただ、笑ってくれればよかった。


最初は、ただ憧れていただけだったの。
みんなの憧れの的だったし、ただ「かっこいい」ってだけ。
大人になって思い返したら、「可愛い初恋だった」って思うような、そんな、当たり前の恋だった。

それが変わったのは、いつだったんだろう。
仲間として、頼ってほしいと思うようになって。
守れるように、支えられるように、なりたかったの。
隣にいるのが、当たり前に、なっていたから。

だから、離れてしまったときには、ただただ泣いていた。
どうしようもなくて、どうしようもないと思い込んでいて。
私には無理って、決めつけた。

それが嫌で、踏み出した。力をつけた。
まだ、泣いていた。

どうしたら、戻ってきてくれるんだろう。
どうしたら、離れることができるんだろう。

中途半端で、揺れ動いて、覚悟を決めてはまた、ただ泣いていた。
もう、自分が何を望んでいるのかも、わからなくなりそうだった。
仲間ってなんだろうとか、恋ってなんだっけとか。
彼を思う気持ちになんて名前をつけたらいいのか、わからなくなっていた。

でもね、サスケくん。
私、やっとわかったの。

「サクラ、準備はいいか?」
「あ、サスケくん」
部屋のドアが開いて、サスケくんが驚いたように私を見ていた。
「サスケくん?」
部屋の入口で動かないサスケくんに近づこうとする私。
でも、いつもの服と違うから、なんだか動きづらい。
案の定、ドレスの裾を踏んで、つまづいた。
まあ、そこは忍としてはありえないことなんだけど、でも、私は転びそうになったの。
だって、
「・・危ないぞ」
サスケくんが受け止めてくれるって、信じてるから。
私を支えてくれたサスケくんは、心なしかいつもより赤い顔。
「ありがとう」
あと、いつもよりも、昔よりも、かっこいい。
「白いスーツも、似合うね」
普通じゃ絶対に着ないこの服装が、今日という日の特別感をより一層強くしてる。
わたしは・・どうかな?
聞く前に、サスケくんが口を開いた。
きっと、そっけないんだろうけど、でも。


この気持ちの名前はね、
ただ「愛しい」ってことなんだよ。





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2014年10月のエアプチに参加させてもらったときのものです。
タイトルは無かったみたいなので改めて付けました。
当時のメモが全然残っていないので何を思って書いたのかが謎なのが残念…記憶が飛んでる…。
たしか、読み進めたら実は結婚式だった、って感じの話が書きたかったんだと思います。
伝わってくれてたら嬉しいです…!

作成日:2014/10/12
掲載日:2019/3/30