「あのさ、ヒカリちゃん。今日これから空いてる?」

放課後。ランドセルを背負う前に、タケル君が聞いてきた。

「うん。空いてるよ」

「じゃあさ、僕の家、寄っていかない?」



<この雰囲気が、なんとなく好き>



「おじゃましまーす」

「今日は母さんもいないし、遠慮しないで良いからね〜」

何度も来ているタケル君の家。

綺麗なリビングで、いつものようにお茶とお菓子を出してくれる。

「はい、どうぞ」

「おいしそう…いただきます」

そう言いながら、早速私はクッキーを口に運ぶ。

「おいしい?」

隣に座ったタケル君が、すぐに聞いてくる。

「うん。タケル君の家にあるお菓子って、いつもおいしーv」

「そう言われると、嬉しいな〜。…1つ、くれる?」

「?う…ん」

自分で取れば早いのに、なんでわざわざ? と思いながらもクッキーを手に取った。

「はい」

手渡そうとしたけどタケル君は手を出さずに、口を開けて指をさした。

「…そういうこと///」

行動の意味を理解すると、ついつい赤くなってしまう。

「はい。あーん」

ぱくっと、タケル君はクッキーを食べた。偶然か意図か、私の指にちょっと唇が触れた。

「なんか、いつもよりおいしい気がする。ヒカリちゃんのおかげだね」

ありがとvと、屈託のない笑顔で言った。

いっつもこの調子。呆れるような、嬉しいような。

「ごめんね。いつも甘えちゃって」

私の心を見透かしたのか、急に部屋の雰囲気を変えた。

「べつに良いわよ、甘えて。…なんか小さい子みたいだけど」

「小さい子かあ…じゃあ、ヒカリちゃんはお母さんかな?」

冗談っぽく言いながら、タケル君は私の腕に抱きついて、肩に頭を乗っけた。

「もう…甘えん坊さん///」

「じゃあさ、甘えついでに、今日の晩ご飯、作ってくれる?」

「え゛っ!?私、料理そんなに作れないよ?」

確かに今日はタケル君のお母さん遅いんだし、そのお願いは叶えても良いけど…。

「ヒカリちゃんが作ってくれる物なら、なんでも良いよ。絶対おいしいし」

「またそんなこと言って…まずくても全部食べてもらうからね」

「ってことは、作ってくれるんだね?」

「今日だけ特別だからね」

「ほんと?ありがとう!」

ぎゅっとしがみつくタケル君は、本当に小さい子みたいだし、なんか人なつっこい子犬みたいでもある。

「でもそうなると、1回家に連絡しないと」

まだ学校帰りだし、遅くなると家族が心配する。

「わかった。僕が連絡しておくよ。だからその間に、ヒカリちゃんは料理の方、お願いね」

「はいはい」


「連絡、終わったよ。…どう?料理の具合」

少ししてから、タケル君は調理中の私に言った。

「うん。まあまあ…かな」

「楽しみだな〜。ところでさ、ヒカリちゃん」

「なあに?」

「今日、泊まってってね」

その言葉に、慣れない手つきで野菜を切っていた包丁が止まる。

「…今なんて?」

「だから、今日は離れないでね」

後ろから、タケル君が抱きしめた。

「そう言われても…」

「大丈夫。さっき連絡しといたから」

「え…なんて言ったの?」

家族が許すような、男の子の家に外泊を許すような言い訳って…?

「んー…内緒♪」

「内緒って…。でも、タケル君のお母さん帰ってくるでしょ?パタモンもいるし」

どんな嘘ついたか知らないけど、とにかく他に人がいる以上はバレる恐れも大きい。

「そうだね。母さんには…まあどうにかしてもらうとして、パタモンは…なんて言おうかな」

「タケル君?」

明らかに嘘が大きくなる気がする。そう思って、右手に包丁、顔は笑顔で振り向いた。

「たしなめようとしてもダメ。今日は、一緒にいてもらうからね」

キッチンが微妙に争いの雰囲気になったけど、なぜか心の中は嬉しかった。

「…わかった。今日は、一緒にいる」

「ありがとう」

抱きしめる力が、強くなった。


たまには、甘えてもらうのも、良いかもしれない。

…もっとも、いつもこんな感じな気もするんだけどね。





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大遅刻申し訳ありません;;「タケヒカでどちらか(タケル)がやたらと甘えまくる」です。
リクして下さった方、ありがとうございました!!遅すぎで本当に申し訳ないです;
しかも文章も中途半端で…変な文です。(元々駄文) ごめんなさい…。
ってか短いですね。。。意外に難しかったです…; 精進精進…。

それでは、このような駄文&短文で申し訳ありませんが、
「8/1〜計画」第1号の方に、これを捧げます。
リクエスト、ありがとうございました!!!

作成・掲載日:2006/10/25