久々に、なんとなくアルバムを開いてみた。
つい最近撮ったものから、小さい頃のものまで。

新しいものから順に見ていって、ちょうど3年前のアルバムに差し掛かったとき、
「ヒカリ、何見てるの?」
部屋に入ったテイルモンが、聞いてきた。

「アルバムよ。テイルモンも見る?」
頷いて、私の膝の上に乗ってくる。

「これは、3年前テイルモン達と別れてからの写真。タケルくんちっちゃいな〜」
「ヒカリも太一も、みんな幼いな…」

前にテレビで、「学生時代の3年は濃い」って言ってたけど、本当にこの3年間で、とても変わった気がする。

「全部、楽しそうな写真ね」
どの写真も、騒いで笑って、いろんな瞬間が写っている。
でも、どれもとても、楽しそうな雰囲気。

「みんなで、タケルくんの家に遊びに行ったときのよ。写真は、何枚かずつ交代で撮って。このときから私、写真に興味を持ったの」

テイルモンの表情が、「どうして?」と聞いてきたので、ページをめくって、1枚の写真を指さした。

綺麗な夕焼けの写真。場所は、タケルくんに案内された近くの公園。みんなで遊びに行ったときに、撮ったもの。
でも、写っているのは、タケルくんだけ。

「…綺麗ね」
「これ、私が初めて撮った写真でね、綺麗に撮れて、すっごく嬉しくて、また撮りたいなあって思ったの」

景色もそうだけど、タケルくんの髪が夕焼けに煌めいて、それが自分でも気に入っている。

「こっちの写真も、綺麗ね」
対になるように貼ってある、もう1つの写真を、テイルモンは指した。

晴れ晴れとした夏の空をバックに、私が写っている。

「これは、タケルくんが撮ってくれたの。それで、お返しにさっきの写真を撮ったのよ」

撮ったのは、時間は違うけど、同じ場所だったと思う。
この公園で、走りまわったりして、遊んだ。
アルバムの中に、転んだ写真まである。…それでも、笑っている写真が。

「ねえ、テイルモン」
「なに?」
「公園、行こうか」


電車に乗って、記憶を頼りに公園に着くと、既に夕焼けの時間になっていた。

「間に合ってよかった」
公園が夕焼けの色に染まり、もう誰もいない。

「風も気持ちいいし、いい場所ね」

「あれ?ヒカリちゃん?」
「え?」

振り向くと、タケルくんとパタモンがいた。

「どうしたの?こんなところで」
私も同じ事を聞こうと思ったけど、考えてみたらここはタケルくんがいた街。

「写真見てたら、来たくなっちゃって。タケルくんは、遊びに来たの?」
「ううん。僕も同じ」
「同じ?」
「アルバム見てたら、懐かしくなっちゃって」

写真ってだけで通じたことも嬉しいのに、同じ理由で同じ時に来た、ということに、2人ともびっくりした。

「すごい偶然だね」
「そうだね」

笑いあう空気に、3年間で変わっても、変わらないものが夕焼け以外にもある気がして、それがまた嬉しい。

「タケリュ、あっちの方が綺麗に見えるよ!」
パタモンが、写真を撮ったあの場所を見て言った。

タケルくんは、1度私の方を見て、走り出した。
私も、すぐに走り出す。

でも、あの頃とは違って、全然追いつかない。さすがはバスケ部のエース。
走り方も綺麗で、輝く太陽に向かって走る姿は、思わず見とれそうになるほど。

写真を撮ろうかと思っているうちに、タケルくんは到着し、パタモンを見やすいところに降ろした。
そして、私の方を振り向いた瞬間、あの写真と、構図が被さった。

ピッ。

「あ!ヒカリちゃん、何撮ってるのさ〜」
「つい…」

ごめんね、と謝りつつも、撮れ具合を確認をする。
走っていたのを急に止めて撮ったから、少しぶれているかと思ったけど、意外なまでに綺麗に写っていた。

「あ、よく撮れてるよ、ほら」
タケルくんにも、見せる。

「ほんとだ。ヒカリちゃん、撮るの上手いね」
「そうかな?タケルくんが撮ってくれた写真も、すっごく綺麗だったよ」
「それは、被写体がよかったからだよ」

さらりと言われて、背景の空のことかと思ったけど、でも、タケルくんの瞳が「ヒカリちゃんが、ね」と言っていた。

「…えっと…//」
「また、お願いしてもいいかな?部屋に飾りたいし」
「…うん//」

タケルくんにデジカメを渡して、同時にテイルモンは気を利かせて、少し離れた場所に移動してくれた。

3年前と同じ場所に立って、カメラを見る。
普段、私がタケルくんを写しているレンズ。

そしてきっと、これからも写していく。

「タケルくん」
「なに?」
「これからもよろしくね」

唐突な言葉だけど、タケルくんは驚いた顔もせず、
「こちらこそ、よろしくね」
と、笑顔で、答えてくれた。

その笑顔は、私の瞳に、しっかりと、焼け付いた。





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お待たせ致しました。16161番キリリクの「タケヒカ」です。
甘く転ぶかシリアスに転ぶかで、シリアス優勢だったのですが、結果的にほのぼのっぽく転びました。
が、なんだか訳のわからない話になってしまった…;;
パタテイルの出番も微妙ですし、タケヒカのキャラ(とくにヒカリちゃんの喋り方)が妙なことになったり…。
色々とかなり駄文ですが、16161番ゲッターのレッドスター様に捧げます。
リクエストありがとうございました!!!

作成・掲載日:2007/07/23