ずっとずっと。

大好き。だよ。



『だってとっても幸せだもん』



「おはよう。ヒカリちゃん」


今日は、デートの日。

私がマンションの玄関に着くと、タケル君が迎えに来てくれていた。


「おはよう。いつも迎えに来てくれて、ありがとう」


待ち合わせよりも、10分以上早くにいつも迎えに来てくれていて、

最初の頃は申し訳なく思っていたけど、タケル君はいつも言ってくれた。


「お礼なんていいよ。僕がヒカリちゃんに早く会いたいだけなんだから」


私は頬を染め、いつもながら嬉しく思った。

本当は、この言葉を聞きたくてお礼を言ってる気持ちもあるんだ。


「じゃ、行こうか」


そう言うとタケル君は、手を差し出した。


「うん」


私は、喜んで手を繋いだ。

出会った頃から、変わっていない。

タケル君はいつも、私に手を差し出してくれた。

その手を握るも握らないも私の自由。そう言っているみたいに。

でも、私はいつだってその手を取った。

ときには、そのまま離したくなかったことも。

ずっと握っていてほしいって、支えてくれていたらなって、思ったことも。


なんて、その気持ちは今となっては、ずっとおわらない気持ちなんだけどね。


急に、繋いでいた手が熱くなった。

私がタケル君を見ると、タケル君は私を見て、微笑んで言った。


「手、絶対に離さないからね。ずっと」


私はちょっと驚いたけど、すぐに頷いた。

今までにもあったけど、私とタケル君は、考えていることが、似てる。

同じ時に同じ事を考えてることが、よくある。

きっと今も、同じ事を考えて、想って、いたんだと思う。

よく、仲良くなると言葉なんていらない、って言うけど、私達の場合もそう。

もちろん、話をするのは楽しいから言葉はいるけど、

目と目だけでも通じ合えるって、信じてる。


私は、タケル君の目を横目で見た。

色々なものを見てきた、綺麗な綺麗な青い瞳。


「…どうかした?」


タケル君が私の目線に気付いて聞いてきた。


「ううん。なんでもない。…ただちょっと想い出しちゃって」


懐かしい想い出を。夏の想い出と、放課後の想い出。

大好きな日々。

冒険をして、色々体験した、日々。

喜怒哀楽。喧嘩もしたし、死にそうになったこともあった。

それでも、大好きな日々。

想い出すだけで、なんともいいがたい気持ちがあふれる。


「…僕たちの冒険って、一言じゃ言えないよね」


私は一言も冒険の時のこととは言ってないのに、

当たり前のようにタケル君は言った。


「成長したとか、良い経験とかじゃすまされない。ただ一つ言うのなら、“大切”。

 かけがえのないもの。出会いっていう、幸せ」

「『出会いっていう、幸せ』…」


デジモンと出会ったこと。みんなと、出会ったこと。

タケル君と出会ったこと。

そういう、大切な出会い。

そしてそれは幸せに繋がる。


「ヒカリちゃんはね、僕が出会った、“幸せ”なんだ」



「…私が、『幸せ』?」



「そう。こうやって、手を繋いだりするのは、幸せと繋がってる。

 大好きな人と、この手で手を繋げる。となりにいる。そばにいる。

 ずっと握っていたいって、支えていたい──支えられていたい、かな──って、

 そう想うんだ」



「それって、すっごく、幸せだよね」


タケル君は、満面の笑みで言った。

無邪気な笑顔。

成長しても、どこか面影のある、笑顔。

変わらない笑顔。

綺麗な瞳。

繋いだ手。

私は、なんとなく、タケル君の腕にしがみついた。

タケル君は、すぐに私を抱きしめた。

あったかい。

繋いだ手から、触れている体から、

あたたかさが流れてくる。

そして、私の目からは、涙が流れてきた。

タケル君は、慌てるでもなく、私の頭をなでた。

あったかい。

小さな頃よりも、あったかくて、頼もしい。

想い出して、涙がさらに強く流れた。


「大丈夫」


タケル君が、そう言った。

なにに対してが大丈夫なのか。

よくわからないけど、私は頷いた。

その言葉に、私は支えられてきたから。

それにね、泣いていても、わかるから。

今、タケル君も同じ事を考えているって。

ううん。今だけじゃない。

昔から。出会ったことから。小さな頃から。

同じ事を想っていた。

私は、泣きながらタケル君を見上げて、満面の笑顔を見せた。


「ヒカリちゃん。大好きだよ」


私は、頷いた。言葉で聞かなくてもわかっていた。

でも、聞くことでさらに、タケル君が大好きだと想う。


「私も。タケル君のことが大好き」


その言葉を聞くとタケル君は、ほんの少し、触れるだけのキスを私にくれた。


「ヒカリちゃん、嬉しそう」


「タケル君こそ。すっごく、嬉しそうだよ」


「当たり前だよ。だって…」



「「だってとっても幸せだもん」」



私達は同時に言って、そして同時に笑い出した。



ずっとずっと。

いつも。いつでも。いつまでも。

そばにいたい。心の底から。幸せとともに。





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900番キリリク、「幸せラブ�なタケヒカ 」ということですが…。
…どうでしょう。(どうもこうもないですね、はい)
幸せなタケヒカと聞いて、なんだか悲しいことを思い出して幸せだと認識、って感じのしか出来なくて、ちょっと困りました。(汗/暗い話って…)
でも、デジモンの曲を聴きながら書いてましたら、何か進みまして。
最後の辺りは、「いつもいつでも」が流れてましたね。シャッフルで偶然。
だから文章にも影響。(笑)
聞いているうちに、懐かしくなって、その気分を書きたいとか思ってしまったりと…。(汗)
でも、短い気もしますが、どうにか書き上がりました。(笑)
これで…これでよろしいでしょうか?
うーん。ラブラブってのがよくわからなかった…。(ぇ)
これで充分ですよね。(だといい/いや、そうだろ)
しかし、文脈めちゃくちゃだ…。本当に、こんな駄文でごめんなさい…。
こんなんでよろしければ、持って帰ってやってください…。
それでは、900番ゲッターのガルン様に、これを捧げます。
リクエスト、ありがとうございました!!!

作成・掲載日:2006/06/14