あるところに、男の子がいました。
男の子は、昨年までとは違い、妙に落ち着きがありませんでした。

今まで男の子は、
3年前は、忙しくて半ば忘れ、
2年前は、知り合いが両想いになったと聞き、
1年前は、ついに自分には関係ないのだと思いました。

でも、男の子は、
今年、ついに彼女にチョコレートをもらいました。
なので、そのお返しをしなければなりません。

そして今日、その運命の日がやってきました。


「聖ホワイトデー」


男の子は、今にも桜が散りそうな強風の中、彼女の住む町までやってきま した。
待ち合わせの場所で彼女を待ちながら、何度も何度も鞄の中身を確かめて 。

やがて、彼女がやってきました。
およそ1ヶ月ぶりの再会です。

そして、あいさつもそこそこに、彼女がこんな事を言い出しました。

“一体何の用件ですか?”

男の子は、周りの桜で紅潮して見える頬をさらに赤らめながら、
少し乱暴に鞄から包みを取り出しました。
そして…。

“…ほら…お返し”

男の子は、彼女に包みを差し出しました。

彼女は、少し戸惑いながらも、男の子の桜風味のキャンディーを受け取りま した。

そして、それと同時に、
暖かな風が吹き、一足早く咲いていた桜の花びらが舞い散りました 。
幸せになれ、と一枚は、全てを見届け舞いました。

“聖なるこの日に 幸よあれ”





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あはは。一応ソマナズなんですけど…。絵本風味。第2弾。(笑)
意味、わかりましたでしょうか?まあ、基本的にはバレンタイン小説と変わってないんですが…。
しかし、桜風味キャンディーって…?(笑)いえ、思いつかなかったので。
桜には時期早そうですが。しかも、聖ホワイトデーって…。聖…なのか?(^^;)
ちなみに、ナズナはホワイトデーのこと半分忘れてました。だって、バレンタインほど騒がれないし…。
あ。作成日、バレタイ小説と丁度1ヶ月違いの日にちだ。(偶然)

作成日:2006/03/12
掲載日:2006/03/14