『気恥ずかしいので』




「えー!?モモちゃん、おひな様出すの早いね〜」

3月に入ったばかりのこの日、ソーマとナズナは久しぶりに 太刀花家を訪れていた。

そして、そこにはまた、ボート部の面々も。

「だ〜って〜、早く出して早くしまわないと〜、お嫁にいき遅れちゃうのよ〜?」

縁側で話をしているモモとリナの会話を聞き、
ふと、ソーマはナズナに聞いてみた。

「…なあ、ナズナ。お前は、いつ出したんだ?」
「…ひな人形のことですか?」
ナズナは、飲んでいた湯飲みを置き、
なぜか、リクとリュージの練習に目をやった。

「…一応、毎年早めには出してますよ。神社なので」
「…そっか。そりゃ、神社だもんな。祭るんなら、ちゃんとしなきゃな 」
そう言いながら、ソーマも、
モモとリナも半ば強制でやっているボート部の練習に目をやる。


「あのさ、ナズナ」
少ししてから、ナズナの方を見ずに、ソーマが言う。

「…なんですか?」
ナズナも、相変わらずボート部を見たままだ。

「…やっぱり、巫女だとさ、その、いき遅れるとかってやつ、気にしな いのか?」
言いながらナズナを見たが、なぜか恥ずかしくなってしまい、目をそら す。

「…気に、しますよ。ぃ、一応、私も、いつどこぞの神社の者と縁組み をするかわかりませぬし、
その、跡継ぎのこともありますので」
ナズナは、途中ソーマの方をちらっと見、悟られぬようにすぐに視線を戻す。

「縁組みって、早い方が良いのか?」
誰も見ていないと言うのに、ソーマはなぜか恥ずかしそうにうつむく。

「それは…その方が、より神社同士の関係も深まりますし…」
「ふ〜ん。…うちの神社も、そうなのかな…?」
なにかを決意したようこの言葉で、すでにいつからか真っ赤になっていた2人の顔は、さらに赤くなる。

「さあ。ただ、普通はそう考えるとは思いますが…」
「…だよな。じゃあ、早い方が良いかぁ…」
ここに来て、ついにナズナの中でなにかが限界に達した。

「な、な、なんですか!先ほどから一体何を…!」
突然のナズナの叫びに、一瞬圧倒されながらも、ソーマも反撃する。
「な…なんだよはそっちだろ!?べ…別に僕はなにも…!」
こうなるともう止められない。

2人の声を聞き、振り向いたボート部の面々は、口々に言った。
「…なんだ?あいつら。あんな体力余ってんなら、少しは練習を手伝え」
「ほんと。一体何なのかしらねえ?2人とも顔まーっかにしちゃって」
「ふふっ。お似合いお似合い」
「あはははは…。」

2人の言い合いを見ていたリクは、ふと桜の木を見上げる。
まだ桜は咲いてないが、確実に春は近づいている気がする。

そんな日常的な風景を、棚に飾られた折り紙のひな人形は眺めていた。
春はもう、目の前かも知れない…。





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意味わかんないですね。これ。(笑)
実はこれ、始めはソマきゅんがもう少しわかりやすい告白の仕方をして真っ赤になって去るってオチだったんですが…。
なぜこうなるんでしょうね?(笑)
さりげなく、フサホリを出せない状況にしてしまった事に後悔。
ボート部は…初喋り人はリナかよ。(汗)
最後のオチも微妙ですし、文脈もへんてこですが、 まあ、笑って許してやって下さい。(^^;)

作成日:2006/03/02
掲載日:2006/03/03